第二次ジャンプ黄金期に光速の衝撃!アメフト漫画『アイシールド21』
アイシールド21_21巻表紙より
『アイシールド21』は、2002~2009年まで週刊少年ジャンプで連載をしていた原作 稲垣理一郎先生、作画 村田雄介先生によるアメリカンフットボールをテーマとした作品です。
累計発行部数は2000万部を突破しており、アニメ化もされました。
知名度も十分のアイシールド21。どこが過小評価されてるの?そう思う方もいるかもしれません。
もちろん文句なしの名作です。が、ただの名作で片付けてしまうほど本作品の評価は低くないんじゃないかと感じてしまうんです。
みなさん、「ストーリーキング」というジャンプの漫画賞をご存知でしょうか。
絵のうまさ関係なく、単純な「話の面白さ」のみで評価される有名な漫画賞です。
「ストキン炎」、「ストキンP」を経て、現在は「ストキンPro 」と言う漫画賞に名前を変えて、「ガリョキンPro」という作画力のみを評価対象とする漫画賞と対を成しています。
初代のストーリーキングは1998年より始まり、現在に至るのですが、その数十年もの歴史の中で、最高賞の「キング」に輝いたのは「アイシールド21」だけです。
そもそもが不思議なのですが、集英社は、手塚賞や赤塚賞をはじめ、こういった漫画賞では準入選や準キングばかりで、滅多に最高賞を選定しないんですよね…
つまり、よほどずば抜けた「面白さ」、「ポテンシャル」、あるいは「才能」を感じさせないと。獲れない・与えられない漫画賞なんです。
そしてストキンキングの看板をぶら下げ、今では「ワンパンマン」でお馴染み、超画力の村田雄介先生とタッグを組み、満を辞して週刊少年ジャンプ連載へ。
「ONE PIECE」「NARUTO」「BLEACH」のビッグ3が全盛し、第二の黄金期と言っても過言ではなかった当時のジャンプ連載作品の中でも、間違いなくトップクラスの人気を誇っていました。
ジャンプらしい王道バトル漫画がラインナップに並ぶ中で、「アメフト」という日本人にとってはほとんど馴染みがないスポーツを題材にした漫画が人気を博した…これがどれだけ凄いことか。
構成力・作画力・キャラクターの魅力、このどれもが超一級品だったからこそ成し得たことだと思います。
つまり私が過小評価されていると言い出したのは、ただのスポーツ漫画の名作という枠にとどまらず、「ドラゴンボール」「NARUTO」「るろうに剣心」などのジャンプ史に残る名作品同様、時代を問わず受け入れられるべき漫画だと思っているからなんです。
ぜひ皆さんにも数えきれない名シーンの数々を見ていただきたい…僕と同じ年代の方は、夜アニメを見ていた方も多いはず。
未読の方は絶対に読んで下さい。人生の21分の1くらいは損していますよ。
直球ど真ん中!競技ダンス&青春スパイスの黄金比『背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~』
背すじをピン!と_1巻表紙より
『背すじをピン!と〜鹿高競技ダンス部へようこそ〜』は、週刊少年ジャンプで2015~2017年まで連載された横田卓馬先生の作品。
ラッキースケベに釣られて高校進学と共に競技ダンス部へ入部した主人公の土屋雅春(つちやまさはる)が、同級生のヒロイン亘理英里(わたりえり)や個性豊かな先輩・ライバル達と織り成す直球ど真ん中の青春部活ストーリーです。
作中では競技ダンスのルールや用語が分かりやすく解説されているのに加えて主人公のつっちーとヒロインのわたりさんがダンス初心者なので、競技ダンスってなんぞや状態の読者目線に立って物語が進んでいき、ストレスなく読むことができます。
そして物語中盤では、両親がかつて競技ダンスのパイオニアだったことが発覚し、ついにつっちー&わたりカップルの競技ダンスの才能が開花。プロ級の腕前を持つ上級者たちと肩を並べるようになり…なんてジャンプの王道展開はありません。
この作品の魅力・面白さはそうじゃない。圧倒的なリアリティとキャラクターの感情の機微が繊細に描かれる、そんな等身大の面白さなんですね。
週刊少年ジャンプ新連載の打ち切り率の高さは皆さんご存知だと思いますが、「競技ダンス」というマイナーな題材で、アニメ化作品ひしめくジャンプの週刊連載を生き抜き、堂々の完結を迎えた本作は、もっと評価されていいのでは?と、そう感じます。そういった意味では前述した『アイシールド21』と近い感覚があるかもしれません。
残念ながらアニメ化は実現しませんでしたが、その影には月刊少年マガジンの人気作品で同じく競技ダンスを題材とした『ボールルームへようこそ』があるんじゃないかと邪推したりしてます。
『ボールルームへようこそ』のアニメがスタートしたのが2017年7月で、ちょうどアニメ化が最適なタイミングがモロ被りしてたんです。作風もテーマも違うのですが、やはり向かい風に吹かれた感は否めないかなと…
『ボールルームへようこそ』はアニメのクオリティも高く、主題歌を歌うユニゾンもめちゃくちゃハマっていて私も大好きな作品なので、世間の評価も分からなくはないというところですね…
ちなみに横田先生は本作の後に『シューダン!』という少年サッカーを題材にした作品を連載しており、打ち切り漫画が後を絶たないサッカーのジャンルで大健闘します。
個人的には横田先生が一番初めにジャンプで短期連載をされていた『こがねいろ』という青春作品が好きすぎたので、ぜひ類似ジャンルの作品を描いていただきたいです。
さて、青春の風に吹かれたい方はぜひ横田卓馬先生の代表作『背すじをピン!と〜鹿高競技ダンス部へようこそ〜』、必見です。
まさに国宝級!「友情・努力・勝利」ジャンプスポーツを体現する『火ノ丸相撲』
火ノ丸相撲_1巻表紙より
『火ノ丸相撲』は2014~2019年連載された川田先生の相撲漫画です。
小学校時代には次世代の横綱候補と呼ばれていたにも関わらず、中学時代は160センチにも満たない体格的なハンデを覆せず、無名の存在となっていた主人公の潮火ノ丸(うしおひのまる)が、弱小の大太刀高校相撲部に入部し、上級生の小関ら強烈な個性を持つ仲間とともに名だたる強敵・強豪校を撃破して大相撲の頂点へと駆け上がる物語です。
後半で触れると「またか!」と思う方が多いと思うので先に言いますが…w
まずは「相撲」という漫画界においてメジャーではない競技を題材としてアニメ化を果たしている実績が凄いです笑
自分がもっと評価されていいと感じる理由はいくつかありますが…まず初めに”物語の無駄のなさ”ですね。
火ノ丸相撲は全28巻と近年のジャンプ作品では決して少なくない巻数ですが、他の作品と比べても密度が非常に濃い28巻となってます。
1巻~18巻までは高校相撲編、その後最終巻までは大相撲編と、2部作の構成もバランスがいいですね。
よく「マンガBANG!」などの漫画アプリで全巻無料開放(1日に読める話数には限度があるよ☆)されてますが、短期間で一気読みした時の満足感がめちゃくちゃ高いです。火ノ丸相撲は一気読みがオススメですね。
他にも、「国宝」という厨二心をくすぐる良設定。「国宝」とは、将来の横綱候補に当てられる刀剣の名をを冠した二つ名のことです。
例えば主人公の潮火ノ丸は、鎌倉時代の刀工が作刀した実在する太刀で、北条時政を苦しめた小鬼を退治したとされる「鬼丸国綱」という二つ名が与えられています。
他にも「三日月宗近」や「草薙剣」など…国宝vs国宝の闘いは激アツです。「黒子のバスケ」でいう「キセキの世代」に近い感じですね。
あとはやっぱ…「団体戦」がいいですよねえ…
本ブログでもよく取り上げさせていただいている「テニスの王子様」とか、残念ながら打ち切りに終わりましたが「クロガネ」とか、個人的には団体戦でこの仲間たちがいるから勝てたぜ!的なノリが大好きなので、本当にたまらんのです。
でも実はジャンプと団体戦ってそんなに相性が良くなくて。というのも、2010年代以降のジャンプは先が読めないスリリングな展開とか衝撃的な設定を求める傾向にあるんですよね。
ぶっちゃけスポーツ漫画って主人公チームが優勝するまでの物語じゃないですか。特に団体戦ともなると何となく勝敗とか分かってくる…そういう予定調和感をめちゃくちゃ嫌うんです、ジャンプ読者は。
だからこそ「ハイキュー‼︎」春高編は当時かなりの衝撃でした。この話を始めると長くなるので置いときますが…
結論。団体戦という現代ジャンプにアンマッチな設定がなぜウケたか…それを気にしないくらいのアツい闘いが見られるからなんですw
仲間と支え合って切磋琢磨し勝利を掴みにいく。これがジャンプだ!と言わんばかりの「友情・努力・勝利」。もっとこういう作品増えてほしいです、切実に。
ぜひ未読の方でちょっとアツい気持ちになりたい、という方は「火ノ丸相撲」の一気見、オススメです!
今回は数あるジャンプスポーツ作品の中で厳選した3作品を紹介させていただきました。まだまだ紹介したい作品がたくさんありますので、ぜひお時間ある時はまた遊びに来てください!
ではではドンセイグッバイ!イッシュウでした。
背すじをピン!と_1巻表紙より
「Dr.STONE」の稲垣理一郎最高傑作「アイシールド21」 2022年3月7日に発売されたジャンプで堂々の完結を迎えた「Dr.STONE」。 斬新な設定と先が読めない物語展開で間違いなく名作の一つに数えられる漫画となりました[…]