王者立海で唯一データが取れない男。コート上の詐欺師仁王雅治。
「テニスの王子様」、通称テニプリは、許斐剛先生による中学校の部活動テニスを題材とした作品。週刊少年ジャンプで1999年〜2008年の約9年間連載されていました。
2009年からは第2シリーズにあたる「新テニスの王子様」(以下:新テ)がジャンプスクエアにてスタートし、今なおファンをアツくさせているジャンプ屈指の名スポーツ漫画です。
今回はそんなテニプリの中でも作中屈指の曲者、というかチートキャラに進化を遂げ、そのチート性能ぶりから立海のコート上の詐欺師仁王雅治が織りなす仁王劇場が「仁王ゲー」と恐れられている(?笑)理由3選をご紹介!
絶体絶命のピンチに稀に起こりうるダブルスの奇跡、「同調(シンクロ)」ですら…。
「ダブルスの世界のトッププロは言う…同調(シンクロ)無しにダブルスでは世界は獲れぬと。」
言うなれば無印のダブルスコンビ技の最終奥義として登場した「同調(シンクロ)」。実際に無印でシンクロが使えたのは青学のゴールデンペア大石と菊丸だけでした。全国大会決勝戦では王者立海のNo. 1ダブルス、丸井ブン太・ジャッカル桑原ペアを圧倒するなど、それほど無印時代のシンクロには格の違いを感じました。
パートナーが次にどのように動くか、お互い手に取るようにわかるというシンクロ。そのため、ダブルスとしてのペア歴はもちろん、性格の相性やバランスなんかも重要な要素となっています(重要な要素なはずなんです!)。
新テニスの王子様になってからシンクロを使いこなす高校生ペアは何組か出てきましたが、一番圧巻だったのはU–17日本代表1軍、陸奥兄弟(双子)のシンクロですね。相対した大石・仁王ペアは、仁王が菊丸にイリュージョンして迎え撃つも(この時点でやってるw)、地のテニス力で上をいく陸奥兄弟には及ばず、ピンチを迎えます。
しかしここで機転を利かせた大石の発案により、なんと仁王が陸奥兄弟とシンクロ!
「あなた方の思考・動きは ーその3つ子から全て筒抜けですよ。」
新テニスの王子様_Golden age 61「革命軍団の咆哮」より
地のテニス力で上回る陸奥兄弟にイリュージョンし、さらに(絶体絶命のピンチに稀に起こりうるダブルスの奇跡のはずのw)シンクロすることで勝利をもぎ取った仁王・大石ペア。まさに「仁王ゲー」と呼ぶに相応しい1試合でした。
中学テニスプレイヤーとして世界でも5本指に入る手塚国光を完全再現。
中学生テニスプレイヤーで世界5本指に入る選手は誰か?そんな討論をした日には何人か死人が出るでしょうが、手塚国光はその5本指に入るかと聞かれて10人いれば9人は「イエス」と答えるでしょう。
ドイツに渡りドイツ代表として活躍してプロ契約の話を持ちかけられたり、vs日本戦では無印のラスボス幸村精市に接戦の末勝利したり、実力・実績ともに申し分ありません。
そしてそんな手塚にすらイリュージョンをしてしまうのがこの仁王雅治。手塚ゾーン・手塚ファントム…無我の奥の扉にある「百練自得の極み」に「才気煥発の極み」まで。さらにはプロ級のサーブと言わしめる零式サーブすらも(全国大会決勝のvs不二戦では使えなかったが、新テで使えるようになっていてイリュージョンを進化させていたのは激アツだった)。天衣無縫の極みにこそなれないものの、他のスペックは手塚と同等と言っても過言ではありません。
特筆すべきはそのイリュージョンの深度です。無印時代の仁王はどこか薄っぺらなイリュージョンをする印象がありましたが、新テで手塚にイリュージョンをして跡部様とダブルスを組んだ試合では、メンタル面をも手塚になり切ろうとし、最後まで絶対に諦めない姿勢を貫くなど、イリュージョンへの強いこだわりを感じさせました。
新テニスの王子様_Golden age76「手塚なら」より
コート上の詐欺師の二つ名を持つ仁王が、命懸けのイリュージョンで格上の高校生に立ち向かう姿。まさに読者を唸らせる「仁王ゲー」な試合です。
現役プロ相手にイリュージョン無双。一世一代の最後の詐欺(ペテン)。
作中最後にして最高のイリュージョンを見せたのはW杯準決勝vsドイツ戦。なんと相手はプロのダブルスペアにして今大会最強ダブルス。そして、かつてフランス代表の破壊王(デストロイヤー)と呼ばれたデューク渡邊とダブルスを組んだのが、我らが仁王雅治でした。
プロ相手に中学3年生をぶつけた日本に対して、会場の誰もがこれは捨て試合だと確信したその時…
「ワシら日本が出せるジョーカー…これが最強ダブルスじゃ。」
日本代表のNo. 1にして絶対的な柱、平等院鳳凰にイリュージョンした仁王!そしてそのクオリティは平等院本人が唸るほど。まさに日本のジョーカーにして最強のダブルスです。
しかし相手もプロテニスプレイヤー。すぐに平等院とデュークのプレイに適応し、一進一退の攻防が繰り広げられます。
実は仁王、自身のイリュージョンを日本の切り札とするため、合宿のリハビリ期間中、入念な準備を水面下で進めていたのです。そして、この試合を最後に詐欺(ペテン)テニスを封印するという覚悟を決めていたのでした。
仁王の活躍と奇策がハマり1ゲーム目を先取する日本。しかし、見事に修正してきたドイツにあっさりと2ゲーム目を取り返されてしまいます。
そしてファイナルセット。完全に適応された平等院のイリュージョンを解いた仁王は、ギリシャ代表ゼウス、オールトラリア代表ノアなど、各国のエース級にイリュージョンしてポイントを積み重ねます(ここは数ページの描写だけどまさに仁王ゲーですw)。しかし、その度に適応し、追従してくるドイツ…
「これが最期のイリュージョンじゃき。」
そして…最後に仁王がイリュージョンをしたのが、『革命的テニス』を標榜する現フランス代表のエース カミュ!元フランス代表最強の男達の幻のダブルスが、ここに実現したのです。
(準々決勝のフランス戦でS1に座していたカミュにまで出番が回らなかった演出がここにきて効いているのがうまい展開!)
カミュにイリュージョンしたことでドイツをあと一歩のところまで追い詰めるも、またしても適応され、ラストゲームまで追い詰められる日本。しかし、デュークとカミュの能力共鳴(ハウリング)によってまたも局面を打開しドイツに迫る日本!息つく間もない試合はとうとうタイブレークへ突入。
なんとか能力共鳴(ハウリング)で試合を優位に進めるも、日本のセットポイントついにデュークとカミュですらも攻略をしてしまうドイツ。それを察した仁王がカミュのイリュージョンを解くと、ある人物が現れました…
新テニスの王子様_Golden age294「唯一の希望」より
そう、仁王本人です。試合を決めるセットポイントにまさかのオリジナルで戦う決断をした仁王。
一世一代最期の最後、仁王の決断の行く末はいかに…
「テニスの王子様」は、今だからこそ読み返したい、未読の方にはぜひ読んでいただきたい折り紙付きの作品です。
ではではドンセイグッバイ!イッシュウでした。
サムネイル画像 出典:新テニスの王子様_Golden age294「唯一の希望」より
なみいる人気キャラクターに埋もれず、かつ存在感を発揮する難しさ。 「テニスの王子様」、通称テニプリは、許斐剛先生による中学校の部活動テニスを題材とした作品。週刊少年ジャンプで1999年〜2008年の約9年間連載されていました。 […]