『タコピーの原罪』の鬼才タイザン5先生が描く新時代ホームドラマ!
「一ノ瀬家の大罪」は週刊少年ジャンプ2022年50号から連載を開始したタイザン5先生の作品。
一ノ瀬翼は、事故で記憶を失ってしまった中学生。
無事に家族と対面するも、驚きの事実が明らかになり…。
https://www.shonenjump.com/j/rensai/ichinoseke.html
この家族、全員訳アリ!?
『タコピーの原罪』のタイザン5が贈る、新時代ホームドラマ!
何と言っても本作品は『少年ジャンプ+』で一世を風靡した『タコピーの原罪』の作者、タイザン5先生の新連載ということで、連載開始前から集英社も強めのプロモーションを展開。読者からの期待も非常に大きかった作品です。
タコピーといえば、独特の世界観で繰り広げられる「救いのない物語」が昨今の時代にハマったのか、ジャンプラでの第1話の閲覧数は270万、コメント数は4000にまで上り、最新話が更新されるたびにTwitterでもトレンド入り。
最終話は『少年ジャンプ+』史上初となる300万閲覧を達成したことが明かされています。
タイトルも『一ノ瀬家の大罪』ということで、タコピーを彷彿とさせるようなワードチョイス。そんな期待値が振り切ってしまっている本作品を、若輩者の私めが批評させていただきまする。
流石のインパクト。問題は本当の意味で「看板作品」になれるかどうか。
週刊少年ジャンプの新連載が厳しい競争を勝ち抜き、連載定着、その後のアニメ化を狙うために、漫画作品には「作画力」「構成力」「キャラクター」「世界観・設定」「衝撃度」の5つの要素が必要だと考えます。
ジャンプ歴20年の私が、生意気にもそれぞれ5段階評価させていただいた結果がこちら。
- 作画力 ★★★☆☆
- 構成力 ★★★★☆
- キャラクター ★★★☆☆
- 世界観・設定 ★★★★☆
- 衝撃度 ★★★★☆
総合評価:★18
★18~20:連載継続・打ち切りはおそらく無し
★21~23:順当に行けばアニメ化
★24.5:次期看板作品候補
これぞ「タイザン5節」。良くも悪くも期待通り。今後の展開次第で化けるか。
それぞれの項目の5段階評価の理由を説明します。
作画力 ★★★☆☆
作画力は★3です。ぶっちゃけプロの漫画家さんの中ではどちらかと言うとうまくないに分類されると思います。
ただ、作品の世界観にマッチした独特なタッチで、話を読み進める上では、作画の拙さからくる違和感は特に感じません。と言うことで、間を取って★3としました。
構成力 ★★★★☆
構成力は★4です。「一ノ瀬家の大罪」と言うだけあってどうしても第1話は家族を中心に話が展開していきますが、その分退屈さを感じてしまう可能性が高くなると思います。実際、今回出てきたのは家族+担当の主治医くらい。
そんな内輪MAXの話にもかかわらず、コマ割りとうまい展開の見せ方でスッと読み進めることができました。綺麗にまとまった1話目だったなという印象です。
あとは個人的にモノローグの使い方がとても好きですね笑
キャラクターの心情に合わせてドンピシャで入ってくる感じ。より物語を引き立てていると思います。
タイザン5先生の読切作品『キスしたい男』もそうでしたが、先生は何気ない物語を劇的に演出するのが非常にお上手です。なので、その構成力が発揮されるのはもう少し後のことになりそう。
キャラクター ★★★☆☆
キャラクターは★3です。ジャンプっぽいキャラクターは今の所いません。今回の話だけで判断するのであれば、★2が妥当かもしれません。
それもそのはず。先生はあえて、「ありがちな家族」を描いているんですね。
そして今後これがフックになって衝撃的な展開に発展していく…はず。
なので、この作品でいうと可もなく不可もないある意味凡極まっているキャラクター、というふうに読者が感じたのなら、それは先生の勝ちだと思うわけです(そもそも勝負ですらないんですがw)。
ということで、キャラクターは先生の意図を汲んでThe・普通の★3とさせていただきました。
世界観・設定 ★★★★☆
世界観・設定は★4です。記憶喪失というのはこれまたありがちな設定ですが、そこに「まさかの家族全員が記憶喪失」、そして「記憶喪失前の家族には何か秘密がある」といった具合に、ありがちな設定にどんどん肉付けをしていって、世界観と作品設定に磨きをかけています。
とは言え、最近の漫画作品の多様性は半端ないので、ありがちな設定の域を出ないとは思います。
ただ、今後この作品の世界観はどんどん深化していく予感しかしません。そしてそれを得意としているのがタイザン大先生です。
ということで、期待を込めての★4といたしました!
衝撃度 ★★★★☆
衝撃度は★4です。ぶっちゃけラスト以外は衝撃という衝撃は皆無でした笑
一ノ瀬家の大罪_第1話「一ノ瀬家の復活」より
まあここですよねえ…笑
タコピーからのファンの方は「キタキタw」という感じでしょうが、まあこのまま仲良しこよしの家族ごっこで終わるはずがないよと。ストレートに闇の一端を見せてくれました。
十中八九今後はこの闇が明かされていく中で物語が展開していくと思いますが、ジャンプラならともかく、ジャンプでもこれやるかあとw
そういった意味での衝撃度★4でしたね。
おそらく何の前情報もなしにこの作品がジャンプに掲載されたとなれば、もう少しインパクトも強かったと思います。
しかし我々にはすでに、タコピー抗体ができてしまっている…そういう意味で読者の期待を超える作品というのは非常に難しいでしょう。
それに、『タコピーの原罪』も話題になり始めたのは数話目からでした。先生の真骨頂はここからだと言えますね。
あとはアニメ化の可能性にも触れておきたいと思います。正直、あまりえぐい話だとメディア化はしづらいのでは?というのが見解です。
本当の意味でジャンプの看板作品と言える作品は、アニメ化はマスト条件だと思います。
しかしこの手の作品は、漫画だから独特の味が出ているのであって、アニメ映えしなさそうな気もする…そこが一つ看板作品となれるかどうかの難関ですね。
あと気になっているのは連載期間。「一ノ瀬家の大罪」というタイトルからして、家族間で話が進んでいき、話の広がりはそんなにないと思います。
タコピーに至っては上下巻で完結しているので、そこまでとは言わないですが、予想通りであれば10巻も行かずして(もちろん、打ち切りは別として)完結するのではないだろうか…
「看板」作品ということだから、ある程度の一定期間はジャンプに居座ってもらわないといけないだろうから、そう言った面でもそもそもタイプが違う作品なのかもしれません。
10歳から週刊少年ジャンプを読み続けてきて、メディア化し、大人気作品となった漫画。奇しくも志半ばで打ち切りとなってしまった漫画。数々の作品に巡り会ってきました。
そういった経験から、生意気にも作品考察をさせていただいてますが、その根底にあるのは、作品はもちろん、作家・編集者・出版社の方々へのリスペクトです。本ブログが少しでも、皆さんの漫画生活を彩ってくれたら嬉しいです!
本記事を見て「一ノ瀬家の大罪」に興味を持ってくださった方は、ジャンプ公式サイトの作品ページをぜひチェックしてみてください!
https://www.shonenjump.com/j/rensai/ichinoseke.html
ではではドンセイグッバイ!イッシュウでした。
サムネイル画像出典:週刊少年ジャンプ 公式サイト
https://www.shonenjump.com/j/rensai/ichinoseke.html
『暗号学園のいろは』週刊少年ジャンプに原作者西尾維新、堂々の帰還! 「暗号学園のいろは」は週刊少年ジャンプ2022年51号から連載を開始した原作西尾維新先生、作画岩崎優次先生の作品。 なんてことない普通の主人公・いろはが入学[…]